副業解禁・・・・・
甘い誘惑ほど、危ないことはないですよねえ。
会社員が副業をするときに、気をつけたい理由をお話しします。
- なぜ、副業・兼業が注目されているのか?
- 厚生労働省のガイドライン
- 中小企業が副業と相性が悪い理由
- 考えられる副業解禁の事情
- 得るか搾取されるか
- 新しモノ好きにとっては好都合
- やめておいたほうがいい人
- まとめのマインドセット
なぜ、副業・兼業が注目されているのか?
まず、副業がどうして注目されているかというと、平成29年3月28日に働き方改革実現会議で決定された「働き方改革実行計画」で副業・兼業の普及促進が進められているからです。
要するに、副業・兼業はこれまで、多くの企業が就業規則で禁止していたため、アルバイトや趣味と実益を兼ねた副業も、なるべく同僚にもバレないようにコソコソとやるしかなかったんですよね。
でも、会社員が副業・兼業をおこなうことに国がお墨付きしちゃった。
それによって、メディアが副業・兼業についてのデータやネタを量産しているので、イヤでも目にする気概が増えているんですよね
厚生労働省のガイドライン
ところで、もしあなたが会社員をしながら副業・兼業をしようか悩んでいる人なら、厚生労働省が副業・兼業について提供している情報ページを見たことがありますか?
このページには、ガイドライン以外にも『副業・兼業の事例』が公開されています。
ただ、この事例を読んだ多くのサラリーマンは、せっかくその気になっていたのに気持ちが萎えちゃうんじゃないかな?
載っているほとんどの人のプロフィールが立派すぎて、多くのサラリーマン、ビジネスマンが思い描いている副業・兼業のイメージとはかけ離れている気がします。
また、企業が副業・兼業を渋々解禁した場合、『副業・兼業の事例』に載っている人のような働き方はなかなか認められないんじゃないでしょうか?
それは、日本の企業の多くが中小企業だからです。
中小企業が副業と相性が悪い理由
副業・兼業の促進に関するガイドラインに載っている資料、中小企業庁委託事業 「平成26年度兼業・副業に係る取組実態調査事業」 のデータでは、副業・兼業を認めていない企業が85.3%です。
平成30年には認める企業の比率がもう少し上がっているはずですが、働き方改革によって副業解禁に舵を切った企業の多くは正直、ポジティブな気持ちで解禁したわけではないと思います。
というのも、日本の企業のほとんどが中小企業です。
中小企業庁の『2017年度版中小企業白書』を見ると、日本の企業数のうち、中小企業は99.7%です。
大企業は0.3%しかありません。
いうまでもなく、日本の産業構造から見て、個人商店などの小売業・サービス業を除けば、中小企業の製造業が占める割合は非常に高いですよね。
ぼくも製造業で働いていたのでわかるのですが、製造業はいち企業だけで完結することは少なく、スマートフォンや自動車を見ればわかるように、一つの製品が出来上がるのに複数の企業が連携しているのが普通です。
本屋に行けば、本棚にビッシリと単行本や雑誌が並んでいますが、本だって印刷する会社と製本する会社が別会社、なんていうのはよくあることです。
上述のような複数の企業で製品を作る場合、現在は2000年ごろに比べると守秘義務についての教育が徹底されますよね。
守秘は、中小企業のなかでも特に下請け業務の多い企業では生命線ですよね。
そういう企業に勤めている社員が副業・兼業をするということが、経営者にとってどれだけ不安をあおることなのか?
想像つきますよね。
そういう事情があるなかで、副業・兼業を推進するにはいくつかの事情がありそうだと感じませんか?
考えられる副業解禁の事情
レベルアップ策
一つは、国際競争力の強化じゃないでしょうか。
欧米諸国のビジネスマンは、人生の中で複数の企業で働いた経験がある人って普通ですよね。
それに比べて、日本では終身雇用の習慣がいまだに残っています。
そして、その習慣のせいで新卒で入社した会社を退社すると、スキルアップを目的として次の企業を探したくても、ガマン強くないとか愛社精神がないとか、おかしなレッテルを貼られることもありますよね。
それで、企業間での人の流動が非常に少なくなっているわけですが、これが日本のビジネスマンに思考や工夫の柔軟性が育たない原因になっているんです。
ようは、井の中の蛙なんです。
現在の産業界は、業界の垣根を超えたアイデアを組み合わせられる知識と発想力がないと世界中で欲しがられるような画期的な製品はなかなか生まれません。
自己補填策
もう一つは、ネットのニュースなどでも解説されることがありますが、税金や社会保障費が上がったことによる給与額の減少と、とくに40歳以上の社員で昇給しなくなった場合の自己補填策ですね。
得るか搾取されるか
この2つの仮説は、いったいどちらが正解に近いと思いますか?
ぼくは、2つとも正解だと思っています。
国が推進する政策であっても、ポジティブな面とネガティブな面の両方があると思うんですよ。
だからこそ、今回の副業・兼業の推進については、実際に副業をするビジネスマン自身の取り組む姿勢で、
多くの価値を得られる人になれるか?
多くの価値を搾取される人になるか?
が決まります。
では、どんな考え方をする人にとって好都合なのでしょうか?
新しモノ好きにとっては好都合
副業・兼業推進の動きを、
将来、AIによって煩雑な仕事から解放され、人間の実務時間が大幅に減ることが確定路線のため正社員の概念がなくなり、いわゆるダブルワークが当たり前の世界になるのを見越した、シフトチェンジの第1段階。
と、とらえられる人は心配ないですよね。
ちょっと状況が違うけど、アップルがiMacを世に出しすときにフロッピーディスクドライブを取っ払ったのを見て、ただの効率化と捉えず、
「インターネット上で大容量データをやり取りする時代が来るんだな。」
と理解して受け入れられたみたいな。
iMacが出たばかりの頃は、まだフロッピー全盛の時代だったからデータのやり取りに苦労したんだけど、その苦労を嬉々として受け入れ、むしろフロッピー以外の方法を見つけるのを楽しめた人。
そんな人が、目の前のそれは時代がシフトチェンジする第1段階か、そうでないか?
を見定めて動ける人なんです。
昔からのアップルファンには、そんな人が多いんじゃないかな。
やめておいたほうがいい人
一方でヤバイのは、給料の足りない分を補填する方法として理解している人なんですよね。
現状でもフルタイムで月曜日から金曜日まで働いているのに、さらに夜間や休日に時給額を優先して仕事をしようとしている人。
はっきり言って、経営者層の思うツボです。
会社に不満を言ってくるのではなく、足りない分を会社が拘束している時間外で働いて補填してくれるんですから。
しかも、もし過労で倒れたとしても、我が社はほぼ毎日定時で上がっているから、我が社のせいではない。
と言い張れちゃう。
まとめのマインドセット
もし、会社員の人で副業を始めようと考えている人は、給料の足りない分を補填しようとするのではなく、全世界でデータのやり取りがフロッピーという規格から数年でクラウドという方法になったように、副業・兼業の解禁は、数年後の働き方から正社員という規格がなくなり、別の方法に変わっていくシフトチェンジの第1段階と捉えて取り組んでほしいなと思います。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。