日本では、超高齢化社会を乗り切るための技術開発が進む一方で、会社員が定年退職後に孤独になり、ひきこもりになったり精神的に病んでしまうことが問題になりつつあります。
公益財団法人長寿科学振興財団によると、日本は2007年の時点ですでに超高齢化社会に突入していたのですが、高齢者の孤独化による引きこもりなどの問題が注目されだしたのは10年後の2017年ごろからで、それは日本人が100歳まで生きるのが当たり前になる、つまり人生100年時代に突入したと言われだしたころと同時期です。
今回は、定年退職後に孤独に陥らず、楽しい第2の人生を謳歌するための対策方法についてお話します。
どうして孤独になるのか?
日本人男性の定年後は世界一孤独、と表現する人もいるくらい、定年後に孤独を感じる人は多いんです。
会社に勤めていたころは獅子奮迅の活躍をしていた人、周りから頼られながら仕事をしていた人でも孤独を感じるようになる原因は、いったいどこにあるのでしょうか?
サラリーマンには近所づきあいがない
会社勤めをしていると、朝早く家を出て、空が暗くなってから帰宅する毎日で、ご近所さんとコミュニケーションを取るタイミングはほとんどないですよね?
昭和の時代なら、子供が多かったこともあって、まだ週末にソフトボール大会があったり、ご近所さん同士でバーベキューをしたりと交流があったのですが、平成以降はマンションの隣の部屋にどんな人が住んでいるのかすら知らないと言われるくらい、ご近所付き合いは薄くなっていきました。
平成以降のコミュニティの分断により、サラリーマンが定年退職後に入れる身近なコミュニティが消失してしまったわけです。
このご近所コミュニティの消失も、定年後の人が引きこもりになりやすい一因です。
肩書きの怖さ
肩書きがなくなると、引くほど周りから人がいなくなるんです。
会社勤めをしていると、会社に行けば同僚がいて話し相手に困らないし、取引先などにも仕事以外の話もできる親しい関係になっている人がいて、社会人としての仲間を感じられる環境が当たり前になっていると思います。
でも、退社すると状況が一変します。
本当に肌寒さを感じるくらいに、周りから人がいなくなるんです。
同僚だった人は、日中は仕事ですからあなたと世間話をしている暇はありません。
これまでの取引先の人も、仕事の関係がなくなると、本当に素っ気なくなります。
ぼくも経験があるのですが、ある平日の夜、デパートで偶然出会った取引先の人は、久しぶりなのにも挨拶もそぞろにサッと目の前から去って行きました。
ビジネススマイルって怖いなあと、その時は思いました。
同時に退社した同僚も、不思議と連絡が途切れてしまうのですが、それはお互いに共有していた環境から離れ、共通することがなくなっていくからだと思います。
まあ、みんな忙しいから退職した人が目に入らないといえばそれまでなのですが、周りから人がいなくなって初めて、周りの人があなたを見ていたのか、それとも会社の肩書きを見ていたのか?ということが残酷なくらい露呈します。
本当に自由だから迷う
サラリーマン、ビジネスマン、会社員、どの表現でも同じですが、企業に勤め続けた人はエリートだろうが窓際族だろうが関係なく、社会の見え方が大きく偏っています。
もう、会社に勤めている人は全員と言いきってもいいです。
どうして偏った社会の見え方になるのかというと、上述した肩書きがあなたの社会的な立場を担保していて、商談などの仕事の場だけでなく、プライベートで高額の買い物をするとき、マンションを借りるときなどでも、肩書きがあなたの手間を省いています。
つまり、あなたが買い物をしても、相手はあなたを見ているのではなく、あなたの所属先の信用を見ているのです。
でも、その事実に気づいている人は本当に少ないんですよね。
もうひとつは、毎日の習慣です。
あなたが会社勤めをしているなら、出勤日は毎日同じ時間に家を出て、同じルートで会社まで移動し、夕方以降に退社して直帰するか、買い物や食事に出かけるのだと思います。
その習慣は、あなたの同僚もほとんど同じのはずで、実は会社勤めをしている人のほとんどが同じような習慣で生きていますよね?
同じような習慣で生活している人と、いつもの時間にバスに乗る。
お昼の12時はランチの時間。
同じような習慣で生活している人に囲まれた毎日は、安心して過ごしやすい分、囲いの外に目を向けなくなります。
そうやって、会社を中心にした生活サイクルを送っていた人が、ある日突然会社の外に飛び出ると、あまりの自由の多さに戸惑います。
まず、お昼ご飯を12時に食べようとすると、奥さんにウザがられます。
会社の外で生きている人は、12時の昼食を目印に生活していません。
昼食は、用事が終わってから、もしくはサラリーマンのお昼休みが終わる13時ごろからゆっくりと食べてもいいんです。
でも、長年の習慣から外れる行動は、これまで築き上げてきたアイデンティティを破壊されるような気がしてイライラしたり不安になったりします。
ぼくも会社を辞めてしばらくは同じ気持ちでしたから、よくわかります。
でも、こんな昼食程度の選択肢だって会社の外では制約がなくなって自由なんです。
服を買いに行くのも、週末に行く必要はなくなります。
旅をするときも、航空チケットがいちばん安い曜日を選ぶことだってできます。
お盆だからって旅行に行かなくていいですし、毎月の連休日に一喜一憂することもなくなります。
本当に自由なんです。
だから、定年後の第2の人生を決めていないのは、カーナビのない車で砂漠を走るようなもの。
何の目的ために、何を選択すればいいのか?
ということが見えなくて困惑するんですよね。
こんな人は嫌われる
会社で染みついた常識や考え方を、退職してから顔を出す先々で無理やり当てはめて通用させようとすると、ハッキリ言ってウザがられます。
会社の常識や習慣は、会社の肩書きが通用する場面でしか通用ないんです。
それなのに、会社とは関係のないコミュニティで訳知り顔で語ると、あなた的にはいい提案をしたつもりでも、そこにいる若者や女性からは煙たがられて嫌われます。
そして、コミュニティからやんわりと遠ざけられてしまいます。
会社の常識や習慣が通用する場所って、本当に限定された狭い世界なんです。
もうひとつ事例を。
以前、とある県の移住相談会に参加したときの話です。
先住の移住者の事例などが紹介された後の質問タイムで、定年後の男性がこんな質問をしたんです。
「田舎に移住した後も、趣味の英会話は続けられるんか?」
この質問には、相談会の担当者も困惑の表情で回答に詰まっていました。
この質問の何がおかしいかわかりますか?
まず、移住先の地域が質問した男性の英会話環境を用意できている必要がないんですよね。
そして、そういう環境があるのかを質問する時点で、その田舎のまちは質問した男性を受け入れたくないはずです。
だって、趣味が継続できるかを他人に質問するなんて、あまりにも受け身の姿勢すぎて、働く環境や仕事を用意してくれていたサラリーマン時代の発想から抜け出せていません。
そういう人が移住してきても、トラブルは起きても地域の活性化にはつながらないと考えるはずです。
実際、移住相談会で主催者の説明を聞くとわかるのですが、募集側のホンネは自分で住環境を作り上げていくような若者を欲しがっていて、今後医療コストやバリアフリーな住環境を町の予算で整えなければならないと予想される高齢者の移住は勘弁願いたいというのが透けて見えます。
一方で、これも相談会で紹介された人なのですが、孫の世代に安全な果物を食べさせたいという志を持って定年後に田舎へ移住した人は、当然ですが町ぐるみで応援されます。
定年後にこれだけはやらないで!
定年後に自由な時間ができてから、やってしまいがちなことを3つ挙げます。
定年後からスクールに通う
海外旅行を楽しむために英会話に通うくらいなら問題ないのですが、定年後に中小企業診断士やファイナンシャルプランナーなどの資格を取ろうとスクールに通うのはお勧めしません。
多くの場合はお金を失うだけで、友人もできなければ、仕事が見つかるのも稀です。
定年後は、これまでの人生で培った経験や知識を活かすことを考えた方が、仕事になりやすいんです。
それは、シニア向けに顧問などの仕事を紹介する制度を市町村が用意していることが多いからなんです。
それでも資格を取りたいというのであれば、バーベキュー検定などのみんなで楽しむために役立つものを勉強すると、年齢の垣根を超えた友人もできやすいですし、単純に楽しいですよね。
朝から晩までテレビの前で過ごす
実は、これがひきこもりになる一番の隠れた原因で、社会問題のひとつとして考えられ始めています。
定年前から、これといった趣味もなく休日に家にいることが多かった人は、定年後も外出する理由がないため一日中家にいることが多くなります。
とくに、自分の部屋を持っていてそこにテレビがある環境の人は、ご飯を食べるとき以外の活動、読書や洗濯物をたたむ作業など、屋内でできる事は全てテレビがついている前で行いがちになります。
ちなみにテレビは、受動的なメディアなので思考能力を奪います。
そんな生活をしていると、2~3年で自分で考える力を失い、短略的に言えばボケてしまいます。
情報収集をネットに依存する
最近のネトウヨに、高齢者が多いことはよく知られています。
ネットはテレビの逆で、自分で情報を検索して選ぶため、能動的なメディアと言えます。
ただ、能動的なぶん、自分で検索して見つけた情報を鵜呑みにしやすい性格があります。
会社員時代から、たくさんの本と複数社の新聞を読む習慣がある人は検索した情報を冷静に俯瞰して判断することができますが、仕事に関係する以外の情報に触れる機会が少なかった人は、どうしても俯瞰して情報を吟味することができません。
この俯瞰して情報を吟味する能力は、長年たくさんの情報を能動的に浴びることによって身につくものですから、定年後に自由な時間を得てからネット検索にハマった人はクリックした先の情報が正しいか、それともデマっぽいのかを見分けられるだけの経験がなく、刺激的な情報に流されてしまうことがあるんです。
有益な情報かを判断できるようになりたいなら、やはり古典と呼ばれる本から読むのがいいと思います。
定年後の行動はどうやって始める?
定年する時の貯金を目安にして、どういう行動から始めた方がいいか?
ということを参考にまとめてみました。
お金に余裕があるなら
もし、十分な貯えがあり、年金を合わせれば定年後30年間は風つに暮らせそうならば、まずは旅行から始めるといいでしょう。
ただし、海外旅行より国内旅行をお勧めします。
理由は、国内のいろいろなところに足を運んで、これから何度も足を運びたくなるような居心地のいい場所を見つけて欲しいからです。
もし、身内に現在お住いの場所ではない都道府県出身の方がいるなら、その身内の地域に行ってみるのもいいでしょう。
理由は、知らない土地に比べコミュニティに入り込みやすいからです。
コミュニティに入ることができると、その地域のいいところも悪いところも知ることができます。
あと、仕事とは無関係の地域のコミュニティでは、素の自分が出しやすくて楽ですよ。
ぼくのお世話になった方の中にも、コミュニティの居心地のよさを気に入って退職後に移住した方がいます。
貯えに不安があるなら
やっぱり、貯金を崩さずに生活をするために、
年金にあといくら足せば安心して暮らせるか?
というのを基準にして仕事を探すのがいいでしょう。
そういう考え方ならば、会社員時代のようなフルタイムの仕事でなくてもいいはずです。
できることなら、これまでの経験や趣味を生かした仕事を見つけたいものですね。
まとめ〜人生100年時代を謳歌するために
定年後の第2の人生は、定年前から対策してください。
まだ40代のぼくですが、退社後は染みついた偏った社会常識と習慣に2年ほど苦しめられました。
会社で染み付いた社会常識や習慣からスムーズに離れて、退社後すぐに第2の人生を謳歌したいのなら、遅くても退職日の1年前から対策を始めてください。
可能なら、退職日の3年前から徐々に準備を始めて、1年前は第2の人生の慣らし運転を始められるくらいがちょうどいいです。
3年前から始めた方が良いという理由は、考えらる第2の人生のいくつかの選択肢の中で、どれがより『あなたらしく』過ごせるプランなのかを知るには実際に試してみなければわからないからです。
一つのプランにつき3ヶ月から半年かけたいと思うと、1年前からスタートではスケジュール的に厳しいですよね?
とくに、定年の1年前からは仕事の引き継ぎや退職前後の書類上の手続きなどでバタバタです。
ですから、退職後すぐに第2の人生を始めるなら、少し早めのタイミングからスタートしてくださいね。
人生100年時代です。
どうせなら第2の人生を謳歌してください。
そのために、あなたの経験の棚卸しと選択肢を増やすお手伝いができる専門家を上手に活用して、Happyなセカンドライフ、楽しい第2の人生を手に入れてくださいね。
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