火曜夜10時から放送されていたTBSドラマ
『ヘブン?~ご苦楽レストラン~』
なんか視聴率はイマイチだったみたいですが、ぼくは割と楽しんで観ていました。
特に目新しいコメディーではないですが、最近か苦しく感じてしまう世の中で、石原さとみさん演じるレストランオーナー黒須仮名子のような自由で破天荒な生き方を観ているとむしろホッとしませんか?。
それにしても、石原さとみさんは相変わらず魅力的でいい!
ああいう顔立ちって、美人なのになんかホッとするんですよね。
それにしても、黒須仮名子のトリックスターぶりには見事でした。
ああいう人が、停滞した会社を蘇らせるんですよ。
今回は、ドラマ『ヘブン?』の黒須仮名子から、理想的なトリックスターについてお話しします。
ちなみに、内容には最終回のネタバレが含まれますので、まだドラマをご覧になられていない方はドラマを観てから読むのをお勧めします。
ヘブン?のストーリーと原作について
ストーリーは、横の土地がお墓で駅からも遠い辺ぴなところにあった中華レストランの跡地を、石原さとみさんが演じるオーナーがレストラン『ロワン ディシー』を始めるために借り、能力はあるけどひと癖ある人達を集めて自分のためにレストラン経営に乗り出した、ドタバタコメディーです。
【AIダイジェスト】#1 黒須仮名子ver.『Heaven?~ご苦楽レストラン~』【TBS】
このドラマが始まったころ、「へんにマンガ的な表現を使うし、オチらしいオチもない気がするんだけど、この雰囲気はどこかで見たことがある気がするんだよな・・・。」
と思っていたんです。
そうしたら、2000年ごろに週刊ビックコミックスピリッツで連載していたマンガが原作だったんですね。
動物のお医者さんなどのヒット作で有名な、佐々木倫子さんの作品でした。
連載していたのが1999年から2003年ですから、おそらくぼくは2000年ごろまではスピリッツを毎週読んでいたはず。
それで、原作が頭の片隅に残っていたんですね。
もうじゅう黒須仮名子
石原さとみさん演じる黒須仮名子は、いいキャラクターでしたね。
☆ 店内には自分専用席を作って、どんなに混雑してもお客さんに譲らない。
☆ 店員にわがまま言い放題で、振り回しまくり。
☆ 気にくわない客には食ってかかる。
☆ お店を作ったのは、あくまでも自分が美味しいものを食べるため。
最終話で、伊賀観が子供のころに書いた(厳密には母親が勝手に書いていた)夢に、『もうじゅうつかい』と書いてあるのに気づいて妙に納得するシーンがあるのですが、黒須仮名子はまさに手がつけられない猛獣のような人でした。
でもね、この猛獣に振り回され続ける店員たちは、なんだかんだで生き生きと楽しく働いているんですよ。
なにせ、店員たちも一癖も二癖もある人ぞろい。
みんな、なんとなく不器用な人生を歩んできた人で、普通の人に比べればなんとなく損しやすい人生を送っていた人たちなんですよ。
そんな人たちだからこそ、猛獣オーナーとみょうに歯車があって、ぱっと見メチャクチャなオーナーに人生を公転する方向へ回されていくんですよね。
もしあなたが、
「そんなストーリーだったっけ?」
と思ったようでしたら、最終回を思い出してほしいんですよ。
あのレストランが、結局いつまで、どうやって存続し続けたのか?
オーナーが閉店を宣言しても、なんだかんだでオーナー専用の永久予約席を作ったままお店をみんなで続けていたのですから、猛獣黒須仮名子は店員たちに幸せな人生の送り方、幸せな働き方を与えていた証拠です。
猛獣とトリックスター
ところで、劇中では黒須仮名子をもうじゅうと表現していましたね。
これを心理学的な視点で見直すと、黒須仮名子はトリックスターだと思います。
トリックスターを簡単に説明すると、神話などに出てくるいたずら者のことです。
いたずら者といっても、子供のいたずらレベルではなく、神や王をだましたり邪魔したりするレベルのいたずらです。
神や王とは、世界の秩序、ルールの象徴ですから、トリックスターのイタズラというのはつまり、ルールや常識を引っ掻き回してぶっ壊してしまうような予測不能の行動です。
でも、一方ではトリックスターの破壊は創造のきっかけになることもあります。
なぜなら、絶対だと思われていた常識やルールが実は幻想だったということを、周りの人たちに気づかせるからです。
だから、トリックスターは権力者にとっては自分の存在を脅かす者で、実際にトリックスターは縦横無尽に暴れてルールを破壊した結果、王になってしまうこともあります。
心理学者のユングの元型論でもトリックスターが出てきますが、トリックスターという存在は、
ピエロ→英雄→王→死
という機能を果たしていくとされています。
黒須仮名子の場合
黒須仮名子はどうだったでしょうか?
物語の初期は、店員にとってはまるで予測できないメチャクチャな人でした。
やがて、黒須本人も理解していないくらいメチャクチャなんだけど、店員の個性が活かせる居場所を作り、お客に愛されるお店に育っていく環境を作りました。
途中、コンサルタントが経営の常識を振りかざしてきますが、経営の常識なんてクソ食らえな一般的には非常識、でも働く者にとっては救われる理由で追い返します。
最後は、自分の役割は終わったと閉店を宣言して、みんなの前から去っていきます。
トリックスターの死の解釈
トリックスターの、
ピエロ→英雄→王→死
の中で『死』の部分が面白くて、この死には2つの解釈があるんですよ。
一つは、実際に死んでしまうことです。
織田信長がいい例じゃないかと思うのですが、うつけ者と呼ばれた信長は、常識外れな作戦で次々と敵を破っていき、やがて日本の王になりますが、最後は謀反にあって死んでしまいますよね。
でも、死というのは実際に死んでしまうのではなく、存在を消すという解釈もできるんです。
それまでに信じられ、みんなを縛りつけていた常識やルールを破壊し、期せずして新たな環境を作り出してしまったトリックスターは、みんなからなぜか尊敬されリーダーにされます。
でも、トリックスターはあるとき、自分の役目は終わったことを悟ります。
役目は終わったなんて格好よく聞こえますが、根っからのトリックスターは安住を好まない。
というか飽きてしまって、まだ何も決めていないけど次のところへ目がいってしまう。
だから、都合のいい理由をつけて役割から降り、次の居場所を目指してみんなの前から消えてしまうんです。
こういう、人の前からいなくなることも、死と解釈できませんか?
レストラン『ロワン ディシー』のオーナー黒須仮名子も、最後にお店の閉店を宣言してみんなの前から去っていきますが、この去り方はトリックスターの死と同じだと感じたんですよね。
しかも、不動産屋との契約書すら破り捨てて、誰も損しないかたちで去っていきましたよね。
まったくもって、最後まで常識の通用しない型破りな人でした。
だから黒須仮名子はトリックスター
ちなみに、お店の閉店後に残された従業員たちが不幸になっていたら、黒須仮名子をトリックスターと言えなかったんです。
でも、従業員は閉店後もレストランロワンディシーを新たな場所を見つけてはみんなで継続しました。
オーナーがいなくなったのに、名前はそのままにレストランを続けたなんて、従業員が不幸を感じていたら絶対にできないことです。
しかも、移転するたびに黒須仮名子がいつ帰ってきてもいいように、オーナー専用の席を維持し続けるんです。
こんなこと、黒須仮名子に感謝の気持ちがなければできないし、黒須仮名子が従業員の居場所が単に働く場所という意味ではなく、生きがいのレベルになっている証拠ですよね。
従業員はみんな、一癖あってなかなか世間とは馴染みにくいタイプでした。
そんな人たちが、自分の能力を存分に発揮できる居場所にたどり着いたわけです。
黒須仮名子は猛獣でありながら、従業員もお客さんも含めたみんなの幸せを感じられる居場所を作って去っていった。
厳密に言えば、黒須仮名子は従業員に自分たちもお客さんも幸せになれる働き方と居場所の作り方について気づかせた。
だから、きっとみんなでレストランロワンディシーというコンテンツを維持し続けたんですよ。
そんな感じで、従業員がいつまでも幸せを感じられる環境を残して去っていった黒須仮名子は、やっぱり素敵なトリックスターだったといってもいいはずです。
あなたの会社に黒須仮名子はいますか?
現在の日本社会は、はっきりいって停滞期です。
爽快なほどに売れるメイドインジャパンの製品はなく、若者には思い切ったチャレンジができるだけの資金が流れてきません。
「ファンドや補助金があるだろう?」という人がいるかもしれませんが、思い切ったチャレンジと綿密な事業計画書は矛盾するものです。
多くの会社、特に中小企業のほとんどは事業の打開策が見つからず、社内もどこかギクシャクした空気が流れているのではないかと思います。
そんな悪い空気を変える方法の一つが、社内にトリックスターを入れることです。
トリックスターは、本人すら意図していないような予測不能なことをし続けます。
もちろん、事業にとってマイナスになることもしでかすかもしれません。
でも、マイナスなことよりもはるかにたくさんのプラスをもたらすはずです。
意外と、トリックスターのメリットを実感として知っているのは社長さんだったりしますよね?
創業者なんてはっきりいってしまえば、みんな若いころはトリックスターだったはずです。
だから、社長さんの多くはトリックスターのメリットを知っているんですよね。
でも、新入社員にはトリックスターが混ざっていない。
それが悩みだったりするんじゃないですか?
とはいえ、新入社員の中にトリックスターがいないのは当然です。
だって、トリックスターとは真逆の人事部などの人たちが面接して合格になった人が新入社員なんですから。
いま、会社にトリックスターを投入したいと思ったら、方法は2つです。
ひとつは、社長自らが人材を探して、コネ入社のように特別枠で入社させる方法です。
もうひとつは、会社の外側で生きている人と契約することです。
この場合、コンサルタントはダメです。
コンサルタントの多くは、マニュアルと経営トレンドのようなその時々の常識とされる方法で事業に介入するため、トリックスターとは対極の人材です。
コンサルタントを雇うくらいなら、黒須仮名子のようなレストランやラウンジのオーナーを雇ったほうが面白いでしょう。
きっと、みんなが常識と信じてやっているルーチンワークを、「ばかじゃないの?」と一喝してくれるでしょう。
あとは、コーチと呼ばれる人材です。
コーチは経営のアドバイスはしません。
経営のアドバイスや事業計画をするのではなく、社内の頭の固くなった人材の考え方の制約を外したり、視野を広げる手助けをしながら、社員自らが現状を打破していく応援をします。
それはある意味、社内に非常識を持ち込むトリックスターです。
そして、社内の人材からトリックスターを生み出すきっかけを作ることもあります。
もし、現状を打破したいと考えているなら、トリックスターと契約してみてはいかがですか?
ご質問やご相談がありましたら、こちらのフォームからお願いします。
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